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田中 理恵子

「正月事始め」

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DEC , 2016

PROFILE

□ PROFILE DATA

田中 理恵子

オーナー  |  hitofushi

奈良県吉野郡出身
吉野杉箸の製造が代表的な産業の町で、箸問屋家と箸職人家との間に生まれ育つ。
グラフィックデザイナーを経て、日本の職人や伝統産業から産み出される暮らしの道具を扱うセレクトショップ「hitofushi」を立ち上げる。デザイナーとして自店のオリジナル商品を企画するほか、伝統の品を今の暮らしに活かすためのコンサルティングもおこなう。
最近では、歴史を遡って日本人と箸との関係を学ぶ「箸のゼミ」や「正しい持ち方指導」など、ソフト面から箸を伝える活動にも取り組んでいる。

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─ 正月事始め ─

 

暮れの足音にも気づけないほど駆け足で過ぎていく、まだそれほど寒くなくなってしまった12月。新しい年を迎える準備も気になりだし、見るもの全てがそわそわ動き出しそうな景色に変わる頃でもあります。

 

この時期思い出す風景は、障子の張り替えや、普段は手の届かない隅々にまで手を伸ばし磨き上げていた大掃除。幼い頃はお母さんを手伝い、寒い寒いと言いながらも来る年を思えば楽しい家庭行事でもありました。

 

そんな大掃除は、神社仏閣などで行われていた日本古来の年中行事「煤払い(すすはらい)」が起源といわれています。お正月の支度を始める日である12月13日の「正月事始め」に江戸城で行われるようになった煤払い。それは年神様を迎えるための神聖な清めの儀式として始まりました。かまどや囲炉裏があり、薪や炭を使っていた昔は煤が汚れの原因となることが多く、煤を払う=掃除をするというイメージが強かったこともあり、程なく江戸の庶民にも広まったといわれています。

 

掃除が済む前から待ち遠しいお正月。家中をピカピカに磨き上げ心も真っさらに。初詣も楽しいですが、まずはお家で年神様をお迎えし、ゆっくりと家族で過ごすお正月もいいものですね。

 

ちなみに写真中の箒は「棕櫚皮箒」

 

オススメは柄の短いものだそうです。長いものの方が楽にお掃除ができる気がするのに何故だろうと思いうかがうと、楽をしようとしてふとした時に箒に体をもたれさせてしまうからだと。短いものだとそうはできないし、箒に無駄な負担をかけず特に穂先が痛まず長持ちし、他にも小回りが効くことで狭い場所でもはきやすいからと。

 

そう聞いて私は、小学校の掃除の時間にみんなで使っていた、穂先がグルンと曲がった箒を思い出しました。

 

今年の暮れは、いつもより背筋を正して大掃除ができそうです。

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UPDATE : 2016/Dec/01 | AUTHOR :

TIE UP PROJECT