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「頭上のモノ」 その四拾五

UPDATE : 2014/Oct/30
AUTHOR: 随筆家 ヤマヒデヤ

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「まさかの再会」

 

 

先日の話をしよう
僕は先日
仕事の関係で倉敷まで来ていた

 

打ち合わせも終わり
時間があったので
美観地区を見て回った
何処へ行くともなくブラついていた
ここは平日でも人が多い

 

新しいお店もたくさん出来ていた

 

とはいうもののそんなに長時間も居れず
美観地区を後にして
倉敷の駅へとテクテク向かっていった

 

倉敷は岡山でも大きい方の街だが
自分の住んでいる街と比べると
ゆったり時間が流れている

 

美観地区を離れても古い商店などは点在していた

 

さぁもうすぐ倉敷駅だという時の事
頭上より声がした

 

「よう‼︎
兄ちゃん久しぶりやなぁ」

 

懐かしい声が聞こえてきた
がしかしここは倉敷
知り合いなどほとんどいない
それにその少ない知り合いに
先ほど会ってきたばかりだ
だからそんな事を言ってくる筈もなく
声も違った

 

こんな
若干のダミ声のおっさんの知り合いは倉敷にはいない
断言できる
しかしまた頭上より

 

「ちょー
兄ちゃん
久しぶりやなぁ言うとんねん
こっちみやんかいや」

 

コッテコテの大阪弁
はてはて
まさかまさか
この声は

 

僕は声の方を見た
嗚呼っ
あれ?
丸っこないやん
でも
絶対や
この声
扇風機の前面カバーのオッサンやで

 

「おっさん
なんでこんなとこおんねん
あんたは路上の方やろ
なんで上なん?」

 

僕はもうこのオッサンに対しては
年上の敬意とか一切なく
タメ口全開で喋っている
むしろそれで良いと思う
しかしあの居酒屋以来か

 

「おぅ
どないや
元気にやっとったか?」

 

「まぁ元気ですよ
そういうおっさんはなんでこんな
倉敷にいとるん?」

 

「わしか
旅行や」

 

「旅行?」

 

「せや
旅行したらあかんのか?」

 

「あかん言う事は無いけど…」

 

なんや引っかかるわぁ
しかも
上の方から話しかけられる事に
抵抗を感じているのも否めない
でなんやのあれ
ロダン最中(モナカ)って
どっちか言うたらオッサンの場合
ロダン最中(さいちゅう)ちゃうん
ロダンとモナカってどういうコラボなんだろ

 

「なぁ
おっさん
なんでロダン最中なんや?」

 

「知りまっかいな
来た時からもうこうやったんやから
なんか問題でもあるんかいな
モナカがロダンやったら」

 

「いや無いとは思うけど
逆にそういう所を
居場所にしてるのが絶妙やなと」

 

「たまたまや
丸いのん乗り継いで来て
なかなかええ街や
そう思って一泊しよ思た時に
ちょうど目の前にありましたんや
せやから今晩はここで一泊や
おいボン
さっきなあそこの角入ったトコに
ええ居酒屋見つけてんけど
後でちょっと行こや」

 

 

そんな訳で
僕たちの倉敷の夜は更けていきました

 

 

 

ほな!

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