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オトナの「路上のモノ」その弐拾四

UPDATE : 2013/Dec/26
AUTHOR: 随筆家 ヤマヒデヤ

オトナの「路上のモノ」その弐拾四

 

 

「ふたり」

 

 

ある処に
仲の良い双子の姉妹がいました

 

なに不自由なく
両親と執事と
それから3人の召使いとで
郊外の湖の側の
高台にある
屋敷に
住んでいました

 

お父様は造船会社を
経営していました
飛行機も無い頃なので
それはたいそうに儲かりました

 

 

二人が8歳になった時に
お揃いの人形を貰いました

 

二人はとても人形を可愛がり

 

寝る時も
お食事の時も
お稽古の時も
片時も離さず

 

10歳になった頃も
変わらずにでした

 

ある日
双子は召使いと一緒に
街へ出かけました

 

長い出張を終え
今日帰宅する
お父様の為に
何かプレゼントを買いたい
とせがまれ

 

お母様は同伴
できなかったので
代わりにその召使いが
お供する
という事になったのです

 

街へは車で出かけました
車でおよそ一時間です
途中
森を抜け峠を越え
そして
また森を抜けないと
街へは出れません

 

森は昼間でも暗く
とても怪しく
怖い感じがします

 

森に入って
15分くらいした所で
車が止まってしまいました
運転手は外へ出て
車を調べています
色々と調べた結果
ここでは
治しようが無い事が
判明しました
とても不安です
召使いは二人を
両手で抱きかかえています
二人は人形を
抱きかかえています
運転手は
女と子供二人だと
歩くのが大変なので
自分が戻り
馬車でもう一度
ここへ来ると告げ
屋敷の方へ向かった

 

それしか方法が
無かったので
召使いと双子は
車中で待つ事に
恐らく一時間以内には
戻るはずです

 

しかし
一時間経っても
二時間経っても
運転手は戻りません

 

そして
代わりに来たのは
盗賊でした

 

三人は
囚われてしまいました

 

その一時間程前に
運転手は盗賊から
金貨を貰っていました

 

盗賊は三人を馬に乗せ
森の奥へ奥へと
入って行きました

 

ところが
途中でおかしな事が
起きました

 

森の中を
知り尽くしている筈の
盗賊が迷っているようです
後戻りも出来ず
とにかく進んで行くと
光が見えました
盗賊たちは安心し
そこへ向かいました

 

 

その頃
家にお父様が
戻って来ました
その時には
屋敷中大騒ぎに
なっていました
何時間経っても
双子が戻って来ないと

 

お父様は双子の為に
買ってきた
お土産を床へ落として
愕然としています
警察を呼び
捜索してもらう事に

 

しかし結局
双子は見つかりませんでした

 

 

盗賊たちは馬を停め
召使いと双子を連れ
小屋に入りました
そこには老婆がおり
ちょうど
大量のスープを
煮込んでいるところでした
盗賊たちと召使いは
スープとパンを
ご馳走になりました
双子は食べませんでした
人形を抱きかかえ二人とも
ただ黙っているだけでした

 

その晩は小屋に
泊めてもらいました

 

 

一晩明けました
盗賊の姿がありません
召使いの姿もありません
小屋も老婆もありません

 

 

 

その代わり2人は湖の底でした

 

岸辺には手のとれた人形が一体

 

 

 

そこで僕は
「はっ‼」
となり目を覚ましました

 

なんて怖い夢をみたんだ
ってね

 

そして
いつものように身支度をして
仕事へ
「路上のモノ」以来
下を見て歩く事が多い

 

歩いているとモノがありました

 

近づいて行きます
どんどん
近づいて行きます
どんどん

 

すると
そこには
手のとれた人形が

 

 

ほな!

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