UPDATE : 2016/Oct/24
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“ヨシオ”というミドルネームをもつ青年に会ったのは
学生が誰もいない早朝のキャンパスだった
日本語がまったく喋れないその青年にカメラを向けたとき
”Allied Barton Security Servises”と書かれたエンブレムを少しだけ自慢げに見せて
おばあちゃんがニッケイの2世なんだよ、と嬉しそうにつぶやいた
カリフォルニアの最初の朝
初めての給料をもらったらひとり暮らしのグランマにボンサイを買ってあげたいんだってちょっとはにかんで話すヨシオに、ウェスト・ロサンゼルスの”Yamaguchi Bonsai Nursery“のことを教えてあげたけど、あいつ、行ったかな。
Passing Through
必然なのか偶然なのかよくわからない旅のはじまり
きっとそろそろみんなが起きだす頃だ
荷物をまとめよう
LMUは広すぎてヨシオにサヨナラは言えなかったけど
モニターに浮かぶ、たぶん二度と逢うことのない彼のその笑顔を見るたびに
その朝の少し靄のかかったLAの空の色をはっきりと思いだす
まるで遠い親戚のように