かお。

フィルター

no.1 Mario

UPDATE : 2015/Nov/08
AUTHOR: 加賀 耕平

no.1  Mario|「かお。」|加賀 耕平

 

はじめてマリオがL.A.に来たとき、いちばん驚いたのは車の数なんだそうだ。

 

ダウンタウンからサンタモニカにむかうI-10は片道8車線もあるのに、朝と夕方は、なにかに塞き止められた蟻の行列みたいにほとんど動かないのさ。

 

俺が育ったテキサスのVan Hornていう町にもI-10は通っているけど、それはたったの2車線で、Chevronのガスステーションと、ヤスミンが来る前のバグダッド・カフェのような草臥れたコーヒーショップがあるだけなんだ。

 

はじめてこのAVISの赤いストライプのシャツと赤いジャケットを着たときはちょっと照れくさかったけど、もう7年だからね。

 

そう言って、マリオははにかんだ。

 

4人でちょっと大きめのバッグが4つ、明日までなんだけどなにかいい車ある?

 

飛行機から降りてはじめて英語を話すのがこのレンタカーのカウンターだから、少し緊張しながらの会話だけれど、AVISのエージェントたちは、いつも笑顔で応えてくれる。

 

It’s parked at C-35 !

 

READ RENTAL SALES AGENTというちょっと偉そうなバッジをつけたマリオが渡してくれたのは、Chrysler Journeyという車の、オモチャみたいな鍵だった。

 

夕暮れのせまるLAXのパーキングロットC-35に停まっているそのワインレッドのJourneyの前で、今まさに日本でやってる服部くんの友だちのフェアウェル・パーティのための滑稽なショートムーヴィーをタケちゃんに撮ってもらって、ぼくたちは笑い転げた。

 

それが、この旅のはじまりだった。

TIE UP PROJECT