続 橋本健二

フィルター

第九話「地下へ」

UPDATE : 2016/Oct/28
AUTHOR: 建築家 橋本 健二

kenjihashimoto09

 

 

一人で呑むのが好きである。
しかし父が好んで集めていたナポレオンや瀬戸物に 入っていた洋酒はどこにいったのか?

 

昨夜も あるバーへ 音楽についてマスターと語る。
ペラペラな音楽は ごめんだ。
使い古した真鍮のような音をくれ。

 

そういえば父のコレクションの数個の壺のことを思い出した。
支離滅裂なデザイン・・・あらびん・どびん・はげちゃびんのようである。

 

そしてヒューリーのエンジンを目覚めさす。
エンジン後部からのオイル漏れが気になる。
まだ失禁状態でも なさそうであるが地面に広がる汚れた下着のような模様が気になる。
ダブル気になるが木になる・・・そして樹になっていく。
成長か・・・・・・・・
ツーバレルのキャブレターである・・
アクセルをぐっと踏んでもホイールスピンはしない
その時 小前田は 口できゅきゅと言う。そしてぶーーーんと言う。
スムーズな加速。
そして「バニシングポイント」のように壁に激突する。
無駄な堤防はごめんだ。

 

先日 行った東北を思いだした。
消えた気仙沼線 代替バスに乗る。
乗客は 小前田と後ろに座っている女子高校生のみである。
ずうーーと下を向いたままの女子高校生。
気になるが 窓ガラスに映った姿を確認する 。
微動だに動かない 。
亡霊か
そのまま1時間 ある停留所で降りた彼女は待合所に消えた。
亡霊か
いや・・・小前田が亡霊だった。

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