第十八話「魔的」
緊張感のあるピンと張りつめた空間 それは冬の気温の低い時期に言われるのかもしれない。 彼の中では真夏の雨がしとしと降りしきるトタン屋根の下 蒸し暑く汗が蜂蜜のように滴り落ち それが歪んだ床を伝い 近所の鉄工所から排出される油と融合し虹色に変化し 川向いのてっちゃん鍋屋の窓ガラスに映り込...
UPDATE : 2019/Jan/24
TITLE: 第十八話「魔的」 ...
配信休止のお知らせ
いつもウェブマガジンused livingをご覧くださり、誠にありがとうございます。
急なお知らせとなりますが、used livingは2019年6月末日をもちまして
コンテンツの配信を一時休止することとなりました。
2010年の配信スタートから9年間、これまでご愛読くださった皆様、取材でお世話になった方々、
そしてused livingにご登場いただいた全ての方々に深く感謝し、心から御礼申し上げます。
今後は「暮らし」というテーマ、ウェブメディアでの発信の形を改めて見直し、
また違った形で皆様にお会いしたいと考えております。
再開時期は未定ですが、これからの展開にどうぞご期待くださいませ。
編集部一同
第十八話「魔的」
緊張感のあるピンと張りつめた空間 それは冬の気温の低い時期に言われるのかもしれない。 彼の中では真夏の雨がしとしと降りしきるトタン屋根の下 蒸し暑く汗が蜂蜜のように滴り落ち それが歪んだ床を伝い 近所の鉄工所から排出される油と融合し虹色に変化し 川向いのてっちゃん鍋屋の窓ガラスに映り込...
UPDATE : 2019/Jan/24
TITLE: 第十八話「魔的」 ...
第十七話「樹氷」
音楽を聴かなかったり聞いたり 振動だけでも いい時が ある。 音楽とは音とはを考えた。 小前田は 以前にバントを決戦していた。 「銀山時味噌」というフルオーケストラである。 担当は 合いの手 一番難しいか サウンドは ペンギンカフェオーケストラと ホークウィンドとリンディスファーンを足...
UPDATE : 2018/Aug/24
TITLE: 第十七話「樹氷」 ...
第十六話「引き問答」
随分前にヨットに乗った。 帆の移動の度に頭を打ち付けて 頭ごと取れそうになった。 サーフィンもした。 バランス感覚が無く 流れの速い河口付近で救助された。 その傾向から 小前田はデザイナー兼スナイパーの道に入ってきた。 デザイナーとしては 少し 塩辛い そして 潜望鏡のようなデザインを...
UPDATE : 2018/Jun/16
TITLE: 第十六話「引き問答」 ...
第十五話「真締」
数年前の事象が 少し蘇る。 似合わない詩に Pernodを飲みながら 光が 見えた いや 時と時の狭間かもしれない そして 遠くに霞んでいく 音色は 聴こえない いや 少し響いてきている ...
UPDATE : 2017/Dec/06
TITLE: 第十五話「真締」 ...
第十四話「断面線」
Fury もう半世紀前の車じゃないか。 以前のAARクーダはサブライムグリーンの まあまあの光沢だった。 Furyのクロームのブルドーザーのようなバンパーは錆びだらけだ。 ふと考えた。なんだ僕自身まだまだ磨かないとだめじゃないかとデザインも 身体も気持ちも・・・ フロントガラスもクラックが入っている...
UPDATE : 2017/Sep/11
TITLE: 第十四話「断面線」 ...
第十三話「昨日は どこにいってしまったのか!」
いろいろな音楽を聴きだしてそろそろ47年だ。 最近になってデザインにその要素が出てきたか 聴きだした頃は毎日レコードを買いたかったのでレコード屋めぐりの日々である。 ある時だったか他店のレコード屋の紙袋を持ってあるレコード屋に行った時 その紙袋にレコードが増えていた不思議な現象があった...
UPDATE : 2017/Jun/21
TITLE: 第十三話「昨日は どこにいってしまったのか!」 ...
第十二話「裏対」
ゴホゴホ 今日の目覚めは 心地よい 大陸から いろいろな粉が 舞い降りる昨今 髪の毛が 一本ずつ細くなり気になりだした小前田 せめて粉の色を黒くしてくれ。 ストーンズではなくリオン ラッセルの 黒く塗れを聴きたくなる。 そういえば中学生の時に読んだ 日本版 ローリングストーンズ誌での ...
UPDATE : 2017/Mar/27
TITLE: 第十二話「裏対」 ...
第十一話「審美眼」
また同じような夢を感じた。 抽象的な構成美のヴィルジングの中を彷徨うそこは不思議な色彩にあふれている。 そこで強烈な耳鳴りに襲われる。 気が付くと腕には無数のホッチキスの針が埋め込まれている。 目が覚めた。 小前田はバッタのように飛び起き一杯のシャリュトリューズを飲み干す。 このような夢を重ねていき...
UPDATE : 2017/Jan/14
TITLE: 第十一話「審美眼」 ...
第十話「月光」
高雄パークウェイのワインディングロードをfuryで走る。 Cボディでは苦しそうだが華麗なステアリングさばきでスイスイ走る。 そうすると対向車線からコルベットC7が向かってきた。 LED電球と白熱電球の戦いかよ・・と小前田はつぶやく。 furyのエンジンルームにコンパクトな318エンジン...
UPDATE : 2016/Dec/16
TITLE: 第十話「月光」 ...
第九話「地下へ」
一人で呑むのが好きである。 しかし父が好んで集めていたナポレオンや瀬戸物に 入っていた洋酒はどこにいったのか? 昨夜も あるバーへ 音楽についてマスターと語る。 ペラペラな音楽は ごめんだ。 使い古した真鍮のような音をくれ。 そういえば父のコレ...
UPDATE : 2016/Oct/28
TITLE: 第九話「地下へ」 ...
第八話「空秋」
そろそろ運動会の季節か・・・・・・・ と25年くらい前の幼稚園での運動会を思い出した。 幼稚園児の息子を小さなタイヤ付のプラスチック製の籠に乗せて 父兄が押して競争するシーンを 酒も入っていた小前田は コーナーをドリフトして進み ゴールで止まりきれなく両手で籠の全面を手で 突っ張った息...
UPDATE : 2016/Aug/31
TITLE: 第八話「空秋」 ...
第七話「For Everyone」
湿度78パーセントの朝を迎え 朝のお味噌をマグカップで いただき 爽やかは82パーセント 小前田は 感じた。 しかし 正司敏江 玲児の敏江の舞台袖からのキックは 具体美術だな と思う今日この頃 静寂の朝 空間のイメージがわく そしてプリムス ヒューリーのエンジンをかける。 先日 警察署...
UPDATE : 2016/Jun/15
TITLE: 第七話「For Everyone」 ...
INTRODUCTION
「あれ読んでおいた方がいいよ」が、いつの頃か苦手になって、本が大好きだから買うのですが、見て触ってるのが好きで、あまり読み込むことがありません。そのせいのような気がするし、いや、関係ないかは分からないのですが、取材をきっかけに読んだ、誰かの綴った気楽な読み物にのめり込むことがごくまれにあります。
「続 橋本健二」もそのひとつ。ある時は歌が苦手なギタリスト、またある時はバーテン、無類の車好きでありファッショニスタでもある髪の長い建築家、橋本氏が綴るどこか不思議な小説です。
それは構想52年、まだプロローグ。読んでおいた方がいいと思います。
建築家
橋本 健二
1959年橋本工務店 社長秀雄の二男として生まれる。小・中・高の成績は美術が飛びぬけて良く音楽は1だった。小学校は人形劇クラブ・中学は社会科研究クラブで古墳の発掘をしていた・高校は散歩クラブ所属。
1959年:大阪府茨木市生まれ
1983年:大阪工業技術専門学校建築科卒業
1986-92年:合田デザイン事務所
1993年:橋本健二建築設計事務所 設立
橋本健二建築設計事務所