続 橋本健二

フィルター

第十一話「審美眼」

UPDATE : 2017/Jan/14
AUTHOR: 建築家 橋本 健二

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また同じような夢を感じた。

抽象的な構成美のヴィルジングの中を彷徨うそこは不思議な色彩にあふれている。

そこで強烈な耳鳴りに襲われる。

気が付くと腕には無数のホッチキスの針が埋め込まれている。

目が覚めた。

小前田はバッタのように飛び起き一杯のシャリュトリューズを飲み干す。

このような夢を重ねていきデザインを組み立てるのが小前田の仕事である。

様式美であるようで様式美で無い。

タイヘイ夢路さんの影響かもしれない。

出かけよう。

1969年のスウェーデン軍のデットストックのモーターサイクルジャケットを着る。

冷えた空気を裂くエンジン音で町の喧騒を消す。

電気エンジンの野郎達はバズーカ砲だと思うだろう。

TIE UP PROJECT