続 橋本健二

建築家 橋本 健二氏が綴るどこか不思議な小説

第十八話「魔的」

  緊張感のあるピンと張りつめた空間 それは冬の気温の低い時期に言われるのかもしれない。 彼の中では真夏の雨がしとしと降りしきるトタン屋根の下 蒸し暑く汗が蜂蜜のように滴り落ち それが歪んだ床を伝い 近所の鉄工所から排出される油と融合し虹色に変化し 川向いのてっちゃん鍋屋の窓ガラスに映り込...

UPDATE : 2019/Jan/24

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第十六話「引き問答」

  随分前にヨットに乗った。 帆の移動の度に頭を打ち付けて 頭ごと取れそうになった。 サーフィンもした。 バランス感覚が無く 流れの速い河口付近で救助された。 その傾向から 小前田はデザイナー兼スナイパーの道に入ってきた。 デザイナーとしては 少し 塩辛い そして 潜望鏡のようなデザインを...

UPDATE : 2018/Jun/16

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第十四話「断面線」

Fury もう半世紀前の車じゃないか。 以前のAARクーダはサブライムグリーンの まあまあの光沢だった。 Furyのクロームのブルドーザーのようなバンパーは錆びだらけだ。 ふと考えた。なんだ僕自身まだまだ磨かないとだめじゃないかとデザインも 身体も気持ちも・・・ フロントガラスもクラックが入っている...

UPDATE : 2017/Sep/11

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第十三話「昨日は どこにいってしまったのか!」

  いろいろな音楽を聴きだしてそろそろ47年だ。 最近になってデザインにその要素が出てきたか 聴きだした頃は毎日レコードを買いたかったのでレコード屋めぐりの日々である。 ある時だったか他店のレコード屋の紙袋を持ってあるレコード屋に行った時 その紙袋にレコードが増えていた不思議な現象があった...

UPDATE : 2017/Jun/21

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第十一話「審美眼」

また同じような夢を感じた。 抽象的な構成美のヴィルジングの中を彷徨うそこは不思議な色彩にあふれている。 そこで強烈な耳鳴りに襲われる。 気が付くと腕には無数のホッチキスの針が埋め込まれている。 目が覚めた。 小前田はバッタのように飛び起き一杯のシャリュトリューズを飲み干す。 このような夢を重ねていき...

UPDATE : 2017/Jan/14

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第八話「空秋」

  そろそろ運動会の季節か・・・・・・・ と25年くらい前の幼稚園での運動会を思い出した。 幼稚園児の息子を小さなタイヤ付のプラスチック製の籠に乗せて 父兄が押して競争するシーンを 酒も入っていた小前田は コーナーをドリフトして進み ゴールで止まりきれなく両手で籠の全面を手で 突っ張った息...

UPDATE : 2016/Aug/31

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INTRODUCTION

「あれ読んでおいた方がいいよ」が、いつの頃か苦手になって、本が大好きだから買うのですが、見て触ってるのが好きで、あまり読み込むことがありません。そのせいのような気がするし、いや、関係ないかは分からないのですが、取材をきっかけに読んだ、誰かの綴った気楽な読み物にのめり込むことがごくまれにあります。

「続 橋本健二」もそのひとつ。ある時は歌が苦手なギタリスト、またある時はバーテン、無類の車好きでありファッショニスタでもある髪の長い建築家、橋本氏が綴るどこか不思議な小説です。

それは構想52年、まだプロローグ。読んでおいた方がいいと思います。

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建築家

橋本 健二

1959年橋本工務店 社長秀雄の二男として生まれる。小・中・高の成績は美術が飛びぬけて良く音楽は1だった。小学校は人形劇クラブ・中学は社会科研究クラブで古墳の発掘をしていた・高校は散歩クラブ所属。

1959年:大阪府茨木市生まれ
1983年:大阪工業技術専門学校建築科卒業
1986-92年:合田デザイン事務所
1993年:橋本健二建築設計事務所 設立

橋本健二建築設計事務所

www.kenjihashimoto.com

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