かお。

フィルター

no.26 Debbie

UPDATE : 2016/Feb/19
AUTHOR: 加賀 耕平

no.26 Debbie

 

きみはひなたのにおいがするよ、デビィ

 

日曜のBuns N’ Rosesは教会からの帰りの人たちで賑わっていて

白人も黒人もみんながそろってブリトーとコーンチップばっかりだ

 

ジュラルミンの波板で囲まれたそのコーヒーショップには

古ぼけたピックアップがならび

ぼくたちはそこで

バカみたいに晴れ渡ったテキサスの空の色のことをはなし

これから見るアルミニウムのオブジェの輪郭をテーブルになぞった

 

デビィが注いでくれるぬるくて薄いコーヒーはすこしもおいしくないけれど

この乾いた空気にはエスプレッソもカフェオレもまったく似合わない

 

きみのTシャツにある「黄金の左腕」っていうのは

あのメキシコのやさぐれたアコーディオン弾きのことだろ?

 

きみの瞳にはいつか行ったリオ・グランデの川面の光がまだ残っていて

その頬には昨日の夜の夢の残骸

 

ポートアーサーていうテキサスの田舎町からサンフランシスコに旅立った

ジャニスっていうブルースシンガーのことは知っているかい?

 

サザン・カンフォートとマールボロ

 

いつかきみも彼女が好きだった酒を飲むことがあるんだろうか

いつかきみも彼女のようにかっこよく煙草をくわえて子どものように微笑むことがあるんだろうか

 

デビィ、海を見たことはあるかい?

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