INTERVIEW

LLama factory|INTERVIEW VOL.6

UPDATE : 2012/Jul/03 | AUTHOR : makiko ueno

この家具が僕であって、僕がこの家具であるっていう感じ
関西から世界に向けて新たなムーブメントを発信する若手プロフェッショナルにスポットを当てたインタビュー企画。
第6弾は、大阪大正区に工房を構えるオリジナル木工家具、雑貨を制作されるLLama factory 主宰 秋友氏にお話を伺った。

────── 家具作りを始めたきっかけはどのようなものでしたか?

秋友氏:「いつも聞かれますけど、常に答えているのは”ない”です。
何かを見てイカズチが落ちたとか、衝撃を受けたとか、“もうこれしかない!”とか言うのじゃないんです。」

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / アトリエ

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / ペンケース

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / インタビュー風景

 

────── 今のワークスタイルにされる前は何をされていましたか?

秋友氏:「大学を卒業して2年半の間郵便局で勤めていました。
その間にも色々思う所があったんですが、何か形に残せる事がしたい、
どうせやるなら一生続けられる仕事がしたいとは、ずっと、何となく思ってはいました。
当時はバンドをやってたりもしたんですけどね。」

 

────── バンドをされながら郵便局でお勤めに?

秋友氏:「結構そういう人多かったです。
常に定時で帰れる訳じゃなかったですけど、あまり残業もないし、土日は休みやし、音楽をやるにはいいと思いますよ。」

 

────── もしかしてその理由だけで郵便局を選ばれたんですか?

秋友氏:「そう。アホなんですよね(笑)」

 

────── 退職されて。2008年の立ち上げまでの間は何をされていたのですか?

秋友氏:「1年間、家具の職業訓練校の木工科に行って、その後北海道の旭川にあるメーカーで丸3年、
それから大阪に帰って1年ちょっと家具の工場に入って独立しました。」

 

────── 「家具職人になるぞ!」という感じでもなく、この道に進まれたのですか?

秋友氏:「やっぱり形に残したい、作った物でお金を貰う、っていう風に、分かりやすいと言えば分かりやすいですよね。
今となれば、木はまぁまぁ好きだったと思うし、インテリアもまぁまぁ好きだったかなぁ。
なので、“めちゃめちゃインテリア好きです!”とか、“ずっと昔から家具が好きで…”って、そこまで言えるかなぁ。
それよりは音楽の方がずっと好きだったし。」

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / 秋友氏

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / アトリエ

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / アトリエ

 

────── 何故独立を決められたのですか?

秋友氏:「自分で作った物を自分で売るっていうのを、最初家具を始めた時にいつかはしたいなって思っていたので。
場所もココを見付けられたので、じゃあやろうかと。」

 

────── 不安などはありませんでしたか?

秋友氏:「アホなんでね。最初は仕事なんかゼロでしたけどね。
僕、設計士さんや工務店さんの下請けではやらせてもらってなくて、基本、常に対お客様なんです。
時々、知り合いの木工所とか、忙しい時に手伝わさせてもらったりする事はありますけどね。
後は知り合いが紹介してくれたりもあって、そこから徐々に、っていう感じ…ですかね。」

 

────── ほぼ口コミで、という感じで今に至るのですか?

秋友氏:「奇跡ですね。営業らしい営業も得意じゃないし、よく食べていけてると思います。
でも人との繋がりは大事にしたいと思ってます。キレイ事じゃないですけど、僕の家具は僕自身だと思ってるんで。
この家具が僕であって、僕がこの家具であるっていう感じなので、僕を売ってるっていうのはあるかも知れないです。」

────── アイデアはどんな時に、何かを見て浮かんだりするものなのですか?

秋友氏:「何かの家具を見てっていうよりも、街を歩いてる時なんかに偶然目にしたヘンテコな物だったり、後はアンティークを見ると、“あー、こういうのいいなぁ”って思ったりもしますね。自分が作る側なので、実際にアンティーク家具を買う事はないんですけどね。

 

旭川のメーカーでも、キレイな物、100点を出そうっていう畑でずっと家具を作ってきたので、味物と言われる物は実際作れないんですけど、好きなのは古い家具であったり。それをパッと見ると、今の既製品ではありえないフォルムとか、作り方であったり、使いたいなーって思ったりするのと…シンプル縛りはあるかも知れないですね。シンプルな物以外は受け付けないかも。

 

好みは完全にそういう物で、その中に1つ遊びがあったりだとか。形状で逃げるというか、それで見せるというよりも、例えば四角の中に何か1つ面白いモノを入れてあげるとか。多分人もそういう人が好きかもしれないです。」

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / 秋友氏

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / 秋友氏

 

────── 何か1つ面白いモノ、例えばそれは機能面であったりするのですか?

秋友氏:「そうですね。機能美と言っていいのかなんですけど、それもあるかも知れないです。」

 

────── 私個人的にはですが、お洋服は派手な物でも普通に取り入れたりするのですが、インテリアや生活道具は派手な物だと疲れてしまったりもします。秋友さんはどう思われますか?

秋友氏:「そうなんです。疲れるんです。どんな物でも手間はどうしてもかかるので、それなら永く、できれば一生使って欲しいので、そうなってくると自然と削ぎ落す形になる。1回ゼロにしてから、そこから1つ2つ足すっていうのがメインなんですかね。オーダーでもシンプルなものから何かを…っていう感じなのかも。」

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / アトリエ

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / 秋友氏

 

────── モノ選びの基準はありますか?

秋友氏:「スペックは考えるかも知れないです。性能はやっぱり、男の子なので。見た目だけっていうのはちょっと苦手です。可愛いからいいや、とか言うよりも、自分の中で“コイツのココがスゴい!”っていうのが1つでもあった方が良いです。それが見た目である事もあるかも知れないけど、もっと内面的と言うか、性能を求めるのかも。

 

後は形状云々よりも、質感は大事にします。例えば木であっても、塗装をべったりしてたりするのはあまり好きじゃなくて。素材感、木地が出てる方がグッときます。僕自身が作る物も素の状態で楽しんで欲しいので、木はクリアオイルしか使わない物がほとんどなんです。」

 

────── デザインについて、どんな形にでも加工する事ができるのですか?

秋友氏:「旭川のメーカーではよく手の込んだ物を作っていたので、それで勉強させてもらったとは思うんですけど、いざ自分が作るとなると、曲線の物はあまりやらないですね。できればまっすぐ、キレイに作りたい。勝手に自分で思ってるんですが、多分彫刻的センスがあまりないんです。」

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / 秋友氏

 

────── 木が本来持つ風合いの様なモノを残したいから直線で表現されるのですか?

秋友氏:「どうなんでしょうね?木目とか色っていう風合いは見て欲しいとは思うんですけど、まっすぐ好きは何でしょうね。真っ直ぐな人間だからですかね(笑)」

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / アトリエ LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / 作品

 

────── 今の自分に大きな影響を与えた人物はいましたか?

秋友氏:「身近な方で言うと、僕が家具の学校に行く前に知り合いに紹介してもらった、家具のお店「うたたね」の山極さん。あの頃から足繁く通ってて、ど素人の時からよくお話を聞いてくださってたんです。元々デザイナーをされていた方で、何て言うか、いわゆる“木工作家”っていう感じの方ではないんです。

 

僕の中では心の糧と言うか、心の師匠だと思っています。後は、今の仕事とは関係ない分野の方からの影響も大きいです。その中で自分の好みとか、例えばバンドをやっていた頃のモッズであったらそのカルチャーであったりだとか…格好つけてたんでね。」

 

────── 今の秋友さんの雰囲気から、当時のモッズファッションやヴィンテージ志向といったモノをあまり感じさせないような気もしますね。

秋友氏:「あの頃は酷かったですけどね。トゲトゲでした。いわゆるマジョリティーみたいなもの、大衆文化っていうものなんか受け入れられませんでした。今もそうなんですけど、“一緒”が嫌なんです。

 

例えば靴が同じ、Tシャツがかぶってるなんかもうありえない…これだけは未だに抜けませんね。勿論身に着ける物以外の全てにおいてそうなんですけど、これはモッズの時の影響かも知れないです。持ってないレコードを誰が一番先に買うかとか、見た事ない服を誰が着てるかとか。

 

でもモッズから少し離れた時は正直めちゃくちゃしんどかったです。他に興味を向けた時に、急に世界がパッと広くなったので。“いいモノ”っていうモノが自分の中でポンっとなくなってしまった瞬間、基準がなくなってしまって、全てがアリだし、ナシと言えばナシで。」

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / 秋友氏

 

──────普段お仕事の日の一日はどのように過ごされますか?

秋友氏:「1年間の内320日位は働いてると思うんですけど、オール半ドンと言っていいでしょうね。冗談ですけど…。普通に何時に起きて何時からやるとかじゃなくて。起きて何となくゆっくりして、お昼にして、お昼寝して。あ、ココはシエスタ文化があるんで(笑)」

 

──────意外です。イメージでは1日中ストイックに制作されているのだと思っていました。

秋友氏:「全くそんな事はないです。すぐギター弾くし(笑)ただ入り込んだらずっとやっていける感じではあります。下手なんですよね。でも嫌いじゃなくて。あまり仕事が趣味だとは言いたくないんですけど、でもそうですね。作る物以外は適当でいいかな、と。」

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / 作業机

 

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / 作業机

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / 作業机

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / お香

 

──────これから先の具体的な展開はお考えですか?

秋友氏:「今、オリジナルは小物が中心なんですけど、家具を揃えていきたいと思っています。
空間全部を使ってインスタレーションなんかもやれたらいいですね。なんか…良いモノを作りたい。」

 

──────“今コレが作りたい”そんな物はありますか?

秋友氏:「何か面白い物が作れるんじゃないかっていうのがいつもあるので、それがないと一人ではできないです。
何でも作りたいです。」

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / 作品

 

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / 作品

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / 道具

 

──────これからもお一人で?

秋友氏:「やれる限り、一生続けたいと思っていて、一人でやる意味は、やっぱり面白い物を作るっていう部分であって。お客様に自分で作った物を、「コレ、僕が作りましてん!」って言いたいんです。「いいでしょ?僕が作ったんで!」そんな事を言いたい願望はあるかも知れないですね(笑)」

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / 秋友氏

 

LLama factory|INTERVIEW VOL.6 / 工房

秋友 政宗

LLama factory 主宰 / 家具職人

http://llamafac.exblog.jp/

 

大阪大正区に工房を構えるオリジナル木工家具、雑貨制作所

問い合わせ先:llamafactory@gmail.com

編集後記

木が本来持つ風合いをそのまま残し、無駄を削ぎ落したシンプルなデザイン。

とても静かだけど、そこにあるという存在感が強い秋友氏の作り出す家具や雑貨は、昔遊んだ木のつみきやおもちゃのような、そんなあたたかみも感じられた。一瞬無骨に見えるようなデザインにも、こっそりギミックが施されている。ソコに気付いてしまうと、知らない間にのめり込んでしまいそうにもなる。

面白い物をつくりたいという想いがじわじわと伝わってくるようなデザイン、その1つ1つが秋友氏自身でもあるのだろう。そんな居心地の良い家具、みなさんも体験してみたくなりませんか?

by makiko ueno

Camera / toshinori cawai

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