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Nonius

UPDATE : 2012/Jan/16 | AUTHOR : makiko ueno

積み木を積むとか、砂場で山を作るとか、それ位簡単な感覚でいたい。
オフィスや穴場的でオシャレな飲食店も増えてきた、ファッションの中心から少し離れた大阪は立売堀。小さく可愛らしい看板が気付かせてくれた、こちらもちょっとした隠れ家的ショップだろう。今では珍しくなった、当時のままのレトロな造りの雑居ビル2階。大きなガラスの窓と雰囲気のある扉からは、柔らかくて明るいナチュラルなカラーが外へと広がり、引き込まれそうになるような空間を覗かせてくれる。

──── 日本では“ノギス”で知られる計測器から名付けられている。ここでオーナーの吉川氏にお話しをお伺いした。

 

吉川氏:「僕らはTOOP design works(トゥープ・デザイン・ワークス)っていうのをやってまして、“モノを作る”事が拠点で仕事をさせて頂いているんです。そこで、自分達でモノを作っていくうちに、売る場所が欲しいなっていう事になって。

ただ、作る人がモノを売るのは凄く難しくて…なかなか…こう、自分で作ったモノをもらってもらえるだけで嬉しかったりして、それでお金をもらうなんてとんでもない、みたいな風に感じてしまうんですね。作り手側だと、作っていく過程で想いなんかが詰まっていくんですけど、その中でモノを売る場所を作るとしたら、いったんそういった想いなんかを切り離して、冷静に“コレは良いモノかどうか”という見極めをする、それが一番理想かなと思っています。」

 

Nonius|店内

 

Noniusの母体となるTOOP design worksは、2005年より大阪市港区の加藤汽船ビルに工房を構え、家具や雑貨などのプロダクトデザイン及び制作、また空間設計やアートのジャンルまで、幅広く活動されている。そのTOOP design worksの直営店となる形で2010年12月24日にオープンし、昨年末で1周年を迎えられたNonius。

 

──── お店を創められた経緯については。

吉川氏:「最初は自分達で作ったモノをフリマで売ったりなんかもしていたんですけど、でもなかなか…苦手で。本当は2~3年前から始めようと思ってたんですけど、お店を作るにあたって、どういう形でお客様に見てもらおうか、自分の中で決着がつかなくて。そんな時に、新しく入って来た1人のスタッフが元々販売という“売る方”をやっていて、その子が入る事をきっかけにスタートしようか、と始まりました。」

 

Nonius|店内

 

Nonius|店内

 

Nonius|店内

 

Nonius|店内

 

インテリアのちょっとしたアクセントに効果がありそうな可愛いオブジェやステーショナリー雑貨、ユニークなフォルムのキャンドルやアクセサリー、鞄や帽子などの服飾小物や什器類に至るまで、独自のセンスで選び抜かれたアイテムに目が踊る。可愛いし楽しい、おもちゃ箱のような個展に訪れたような気分を楽しめるのもNoniusの魅力。

 

──── 一番のこだわりについては。

吉川氏:「僕的には、作り手だから分かるモノの良さ、ハンドメイドの良さを伝えていきたいと思ってまして、そういう視点で見たモノがココにはあるっていう所ですかね。お店のコンセプトとしては、“ほんまに良いモノを探求する” 勿論、言葉が探求するっていうだけでどこのお店もされていると思いますけど。ノギスっていう外側と内側と奥行きを測る計測器で、外側を見た目のビジュアルやフォルム、内側をモノ作りのコンセプトやプロセスなどであったり。自分達も実際に体験して、モノ作りの内側をしっかり伝えられるように努力しています。」

 

Nonius|店内

 

よく見ると多ジャンルに渡る、作家さんによる作品などが多数並ぶ、Noniusのアイテム構成についても伺ってみた。

吉川氏:「アイテム構成と言うと…。モノ作りをしているが故に、その辺が凄く苦手で…(笑) ですが、ハンドメイドのモノで大半を占めたいっていうのが理想です。後は、全体の3割位を知り合いの作家だとか、1割位はセレクト系のアイテム等を含め、最後の残り1割を僕達が作ったモノを並べられるといいな、っと思っています。」

 

──── TOOPさんが作られたアイテムは1割だけでいいんですか?

 

吉川氏:「そうなんです。僕達は、設計したりデザインする“考えるチーム”と“作るチーム”、“売るチーム”の3つの柱を作りたいと考えているんです。それぞれがあくまで独立した1つのチームであるべきだと思ってるんです。3つが循環すると凄く良いんですけどね。例えば、売るところがあるから考えるところが楽になるような事ってあるじゃないですか。絶対にココは売ってくれるから…とか。そういう風にはしたくなくて。NoniusがTOOPのモノを選んだという風に、3割の作家さんの中の1人としてTOOPを選んだ、というようにしたいんです。」

 

Nonius|インタビュー

 

Nonius|店内

 

Nonius|吉川氏

 

“モノ”だけではなく“モノ作り”という言葉も溢れてしまっているように感じる現在。 真剣にモノ作りと向き合う作家のアイテムを並べる、そして自らも自分達のモノ作りと真剣に向き合う。常に内側から探求する事を忘れないTOOPのチームが作りだす空間、言葉にする事が難しいその魅力は、1つ1つのアイテムは勿論、実際にその空間ごと体感して欲しい。

吉川氏:「作る側の、モノを売る事が苦手な私達が実際にモノを売る時、本当に感謝の気持ちが生まれてくるハズだと思うんです。モノを大事に考え、それを持ってもらう事に凄く感謝するし、使ってくれると嬉しいし壊れてしまったら直したい。作っているか作っていないかのだけなんですが、もしかすると、作り手にしかない気持ちなのかもしれませんね。モノ作りの楽しさが伝われば嬉しいです。」

 

Nonius|店内

 

Nonius|ノギス

 

Nonius|吉川氏

 

そんなNoniusに並ぶアイテムを眺めていると、1つ1つの生い立ちや、どうやって作られているのか知りたくなるモノ、これは何に使うのかな?と、気になった瞬間からワクワクしてしまうアイテムや、身に着けたくなる素直に可愛いモノなど、まさにイロイロ。

 

──── アイテムをセレクトする際のポイントについては。

 

吉川氏:「ルールがある訳ではなく、大切にしている所は、結局、ブランド等の名前でもなく、どういう想いでそれを作られているか、どんな方法で作られているか、直接僕達はお話を聞かせてもらい、僕達なりに“めっちゃおもしろい”と思える人の作品である、っていう括りではあるんです。10年近くモノ作りをしている中で、なかなか出会った事のない人達のモノを極力置きたいな、とは思っています。商品の見栄えや価格ではなく、プロセスやコンセプトを重視する所ですかね。」

 

Nonius|店内

 

──── 気になる今後の展開については。

 

吉川氏:「僕達が作るモノはどちらかと言うと大きなモノなので、お店自体はもう少し広い場所で、インスタレーションで見せられるような空間もお店の中にある、雑貨屋を併設したカフェを運営できたらいいなと思っています。」

 

様々な作家さんやTOOP design worksの作品など、根底にあるこだわりを崩さず突き詰めて、選ばれた作品それぞれが主張し過ぎず、独自の空気感でディスプレイされている。何気なく置かれたインテリア什器や天井から下がる照明も、何とも言えず可愛らしく、でもシンプルと言うのか、余白の空間までも心地よい。Nonius自体がインスタレーションのような感覚さえ覚えた。そして1つ1つがリーズナブルな価格なのも、買う側にはとても嬉しい。

 

Nonius|店内

 

Nonius|エントランス

 

Nonius|インタビュー

 

吉川氏:「今や物は、機械や外国で作られる事が簡単になっていて、作り手を辞めざるを得ない状況が現実にあるんですね。自分達で鉄工所をやってるんですが、そこでモノを作っていくうえで、物を作るプロセスや作る事自体をおもしろいと思ってもらえたらいいなって…。物を買う時や使う時に、その物の事を少しだけ知るだけ、あるいは知っているだけで、全く同じ物が全然違うく見えたりする経験をした人は沢山いるかと思います。知る事で愛着が湧いて大切に使ってもらえたら、その物も、作り手側も、本当に幸せだと思うんです。そういう感覚を大切にしたいです。だからみんなに知ってもらいたいですね。」

 

──── 最後に、吉川氏の考える“モノ作り”とは。

 

吉川氏:「モノを作る時に僕がいつも考えるのは、積み木を積むとか、砂場で山を作るとか、それ位簡単な感覚でいたいと思っていて。
誰でも分かり、誰でも出来て、だけどその中に少しアイデアがあって、そういうのが良いですね。」

 

Nonius|インタビュー

 

Nonius|店内

 

 

recommend item

 

商品名:どろり / 価格:¥3,000-~¥3,800- / Nonius

どろり / ¥3,000-~¥3,800- 税込

 

商品名:花器のキャンドル / 価格:¥3,000- / Nonius

花器のキャンドル / ¥3,000- 税込

 

商品名:ブローチ各種 / 価格:¥2,000-~¥2,200- / Nonius

ブローチ各種 / ¥2,000-~¥2,200- 税込

 

information | Nonius

http://nonius.jp/

 

〒550-0012 大阪市西区立売堀1-10-3 タブチビル2F

営業時間 : 11:00-19:00

TEL : 06-6532-3336

FAX : 06-6532-3337

定休日 : 毎週水曜日

編集後記

“作っている”か“作っていない”かだけ。
言葉にすると本当にただそれだけかも知れない。

では何が違うのか。
それは、空間造形作家 吉川氏の「お店」という“モノ作り”そのものなのかも知れない。

その“モノ”の、今まではなかなか触れる事のできなかった内側の部分、
作り手さんをも身近に感じられ、伝えてくれる場所。

Noniusは勿論、TOOP design worksの今後の展開からも目が離せなくなりそうだ。

by makiko ueno

Camera / toshinori cawai

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